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新規性喪失から出願までの第三者の公開行為について [意匠法の実務(Design Patent)]

審査便覧10.37
意匠法第4条第2項の「該当するに至った日」と意匠登録出願の間になされた公開行為についての取扱い

1.意匠登録を受ける権利を有する者が、意匠登録出願前に意匠法第3条第1項第1号又は第2号の規定に該当するに至った意匠を複数回に亘って公開した場合には、その意匠が最先の公開について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるものであれば、第2回以降の公開によっても、その意匠は意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとする。

2.意匠法第4条第2項の「該当するに至った日」と意匠登録出願の間に第三者が「該当するに至った意匠」と同一の意匠を公開した場合には、その意匠は第三者の公開によって意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当したものとする。
 ただし、第三者の公開が「該当するに至った意匠」の公開に基づくことが明らかなとき(注)はこの限りでない。

 (注)「第三者の公開が該当するに至った意匠の公開に基づくことが明らかなとき」とは、例えば「展示会の紹介記事」のようなことをいう。

(説明)
 意匠法第4条第2項に規定する「前条第1項第1号又は第2号に該当するに至った」意匠とは、意匠登録を受ける権利を有する者の行為により初めて公開された意匠ということを意味し、その意匠について「同項第1号又は第2号に該当するに至らなかったものとみなす」ということは、前記行為によって初めて公開された意匠について、その公開の日から6月以内にその者が出願をすると共に意匠法第4条第3項の手続をしたときに限り、新規性を喪失するに至らなかったものとみなすものである。

 そして、意匠法第4条第2項は、意匠登録を受ける権利を有する者の公開行為に何等制限を設けず、意匠に係る物品を製造し販売する等、第2回以降の公開について意匠登録出願人自身では律し切れない場合も例外事由とするものであるから、前記公開行為によって初めて公開された意匠がその公開に基づいて再度公開される限り、たとえそれが第三者の公開行為によるものであっても、そのことによって当該擬制が否定されることはないと解される。

 しかし、意匠法第4条第2項は、意匠の登録要件の判断を最先の公開時に行うとするものではなく、意匠登録を受ける権利を有する者(原始的には創作者)が、当該権利の発生原因たる意匠の創作に基づいて、意匠登録出願前にその創作に係る意匠を公開することを許容するに止まるから、第三者が別個に同一の意匠を創作し公開した場合についてまで、その意匠が新規性を喪失しないとするものではない。

 したがって、本文のとおり取り扱うものとする。


【メモ】
・自己の行為に基づく新規性喪失について例外適用を受ける時、当該新規性喪失から出願までの間にあった公開行為について規定する。それが自己の行為(および自己の行為に基づいて、他人が「展示会の紹介記事」などでその意匠を公開した場合など)であれば、依然として意匠登録を受けうるが、第三者が別個に同一の意匠を創作し公開した場合であれば、意匠登録を受けることができなくなる。

・また上記審査便覧では、第三者が「同一」の意匠を公開した場合が規定されているのみであり、「類似の意匠」を公開した場合は規定されていない点に注意するべきである。

・すなわち、新規性喪失から出願までには、6ヶ月の猶予期間(grace period)が認められるが、出願を急いだ方がよいことには変わりはない。

椿特許事務所
弁理士TY
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