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発明の単一性(「特別な技術的特徴(STF)」関連)(5/26) [国内法・国内判例など(JP:特許)]

発明の単一性について(「特別な技術的特徴(STF)」関連)

最近の審査実務で何かと問題となる個所なので、復習の意味で覚書しておく。
(個人的な見解、理解を含むので、実務では審査基準に従って下さい。)

【法文】
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【特許法第37条】
 二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。

【特許法施行規則第25条の8】
 特許法第三十七条の経済産業省令で定める技術的関係とは、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有していることにより、これらの発明が単一の一般的発明概念を形成するように連関している技術的関係をいう。

2 前項に規定する特別な技術的特徴とは、発明の先行技術に対する貢献を明示する技術的特徴をいう。

3 第一項に規定する技術的関係については、二以上の発明が別個の請求項に記載されているか単一の請求項に択一的な形式によって記載されているかどうかにかかわらず、その有無を判断するものとする。
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【分析】
(1)「特別な技術的特徴」は、実務上、「STF」(Special Technical Feature)とも呼ばれている。特許出願に対する先行技術として、A+B+Cからなる発明があった場合において、特許出願に係る発明がA+B+C+Dからなるものであったとき、原則、構成「D」が「特別な技術的特徴(STF)」となる。いわば新規性のある構成部分(発明の特徴部分)がSTFであると考えてよいものと思う。

(2)上記構成「D」がSTFであれば、「A+B+C+D+E」、「A+D」、「E+F+D」、「A+B+C+D’」、「E+F+D’」(「D’」は、「D」に対応するSTF(特別な技術的特徴))は、いずれもA+B+C+Dからなる発明とともに一の願書で特許出願をすることができるものと個人的には理解している。

(3)「D」と「D’」(「特別な技術的特徴が対応するもの」)の関係である例として、「特定構造のねじ山を有するボルト(D)」と「ナット(D’)」の関係などがある。
 ほか、「2以上の発明の間で、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が、共通若しくは密接に関連している場合、又はSTFが相補的に関連している場合」は、発明の単一性の要件を満たすとされている。この辺の関連しているかしていないかの線引きで、実務ではもめるのではないかと思われる。以下の例は、いずれも審査基準により単一性を満たすとされている例である。

 例1:
 請求項1 : 窒化ケイ素に炭化チタンを添加してなる導電性セラミックス
 請求項2 : 窒化ケイ素に窒化チタンを添加してなる導電性セラミックス
 (審査基準での説明)
 「発明全体としてみれば、請求項1、2の特別な技術的特徴は、それぞれ、炭化チタン、窒化チタンであり、両者は窒化ケイ素からなるセラミックスに導電性を付与する点で、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が共通している。なお、この例で、先行技術との対比において技術上の意義が共通、又は密接に関連しているといえなくなった場合は、発明の単一性の要件を満たさない。」

 例2 :
 請求項1 : 映像信号を通す時間軸伸長器を備えた送信機
 請求項2 : 受信した映像信号を通す時間軸圧縮器を備えた受信機
 請求項3 : 映像信号を通す時間軸伸長器を備えた送信機と、受信した映像信号を通す時間軸圧縮器を備えた受信機とを有する映像信号の伝送装置
(審査基準での説明)
 「請求項1、2の特別な技術的特徴は、それぞれ、時間軸伸長器を備えること、時間軸圧縮器を備えることであるが、両者の機能は、それぞれ、時間軸を伸長し映像信号を送信すること、時間軸を圧縮し映像信号を受信することであり、両者は相補的に関連している。また、請求項3は、請求項1、2の特別な技術的特徴である時間軸伸長器と時間軸圧縮器の双方を含むものであり、請求項1、2に係る発明と密接に関連している。」

(4)他、以下の発明同士は、「特定の関係にある場合」とされ、基本的には単一性を満たすとされる。これは、以前の審査実務と同じかと思う。
 (a) 物とその物を生産する方法、物とその物を生産する機械、器具、装置、その他の物
 (b) 物とその物を使用する方法、物とその物の特定の性質を専ら利用する物
 (c) 物とその物を取り扱う方法、物とその物を取り扱う物
 (d) 方法とその方法の実施に直接使用する機械、器具、装置、その他の物

椿特許事務所
[弁理士TY]
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